自然世界への畏敬を独自の漫画表現で読者を魅了し続ける漫画家・五十嵐大介の「海獣の子供」を、映画『鉄コン筋クリート』で第31回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞し、そのハイエッジな映像表現で世界から注目を浴びるSTUDIO4℃が映像化した映画『海獣の子供』が6月7日(金)に全国公開する。
公開を目前に控え、5月30日(木)に本作のトークイベント付き特別試写会が行われた。トークイベントには、ダンスボーカルユニット・PRIZMAX のメインボーカルとして活躍しながら、俳優としてはスティーヴン・スピルバーグ監督にその才能を見出され映画『レディ・プレイヤー1』に抜擢、本作ではジュゴンに育てられた兄弟“空”と“海”の謎を追う若き天才海洋学者・アングラードを演じた森崎ウィンと、本作の監督を務めた渡辺歩監督が登壇。
本作の見どころやアフレコ時のエピソードなど、濃密なトークが展開された。
■TOHO シネマズ×錦糸町 PARCO 『海獣の子供』特別試写会
5月30日(木)19:00〜19:25 上映前のトークイベント
場所:TOHO シネマズ錦糸町楽天地(錦糸町 PARCO 6階)
登壇者:森崎ウィン(アングラード役)、渡辺歩(監督)
登壇者コメント
・森崎さんはアニメーション声優初挑戦ですが、いかがでしたか
森崎:画が出来上がっているところに声を入れていったので、純粋に難しかったです。一番初めに、音の入っていない画のみのDVDをいただいて練習したのですが、これはどこでブレスを取っているんだろう、と。キャラクターの呼吸と合わせるのがすごく難しかったというのが印象です。
人が喋る前のちょっとした息遣いなど普段意識せずに自然とやっているものも、いきなり画だけを見るとわからなくなってしまう。
どこでこの人は息を吸っているのか、それってすごく大事なんだなと改めて感じました。実際に立ち上がったりしてアングラードと同じ動作をすることで、彼と同じ息遣いを表現することができました。
アングラードと僕は真逆ですが、これだ、と思うものが撮れると、「うわっ」とか「キタっ!」と感情が出てしまいましたね(笑)
アングラードのセリフは内容が難しく、台本を読んでも理解するのに時間がかかりました。原作のファンの方が沢山いらっしゃる中でそれを演じるというプレッシャーもありましたが、アニメーションと合わせていく作業の前に、アングラードの言っていることをまず自分がどう理解するか・どう解釈するか、台本の解釈にとても時間をかけました。
また、収録は田中泯さんとご一緒させていただき、田中さんの立ち姿や佇まいを隣でリアルに感じることができました。言葉よりも背中で見せてくれて、空気感をすごく作ってくださったので、田中さんがいてくださるからこそやりやすかったところがあります。
監督:ものすごく一生懸命に、前向きに探って突き詰めて考えてくださる、これは簡単なようでなかなかできるものじゃないです。アプローチの仕方が素晴らしかったです。映画の神様に森崎ウィンという才能と出会わせてくれて感謝しますと伝えたいですね。
企画から5年、今のお気持ちをお聞かせください
監督:もちろん完成させなければならないものですが、制作期間中はいつか世に出せる、きっと驚いてくれるだろう、こんな風に感動してもらいたい、という気持ちを込めてスタッフ一同で作っていくその時間が楽しくて、なんだか終わってしまうのが寂しいです。
ですが、晴れて今日を迎えて、一般試写はこれが最後でまもなく公開を迎えるということで、一口には言えない思いがありますね。
アヌシー国際アニメーション映画祭、新設のコンペティション部門への出展が決定しました。海外の方に特に注目していただきたいところは?
監督:アニメーションは世の中に数多ございますが、非常に特農な作品です。人が線を一本ずつ書いていく、一枚ずつ描いていって動きを生み出すという最も原初的な、非常にシンプルなんだけれども一番尊くて大変だと言える作業を集積したものになっています。アニメーションは各国共通の技法を使っているので、その濃厚さは伝わるのではないでしょうか、その部分を是非とも味わっていただきたいですね。
生き物や生命がどこからきてどこへいくのかという非常に広いテーマではございますが、一つ一つ疑問や感じたことを観てくれた方一人一人の中で個人的なものとして受けとっていただいて、命や自分の存在について考えた時に、どんな考えのヒントがあるか、その思考が生まれてくるか。この少女は劇中、あるきっかけで自分のことを取り戻します。それは皆さんの中にもそれぞれの形であると思いますので、そう言った部分を感じてもらえたら嬉しいです。
森崎:『レディ・プレイヤー1』をイギリスで撮影していた時、現場にいらしたアニメーターや CG クリエイターの方々がみんなアニメ好きで、日本のアニメの話をすると熱くなるんです。日本のアニメの偉大さというのを肌で感じました。今回、日本から発信される新しい作品が世界に広がっていき、その中に自分も携わっていることを誇りに思いますし、新たな日本の魅力がお世話になった方々にも違った形で届くというのは嬉しいです。是非、スティーヴン・スピルバーグ監督にも観ていただきたいですね。
★作品詳細
海獣の子供
6月7日(金)全国ロードショー
【原作】
五十嵐大介「海獣の子供」(小学館 IKKICOMIX 刊)
【キャスト】
芦田愛菜 石橋陽彩 浦上晟周 森崎ウィン稲垣吾郎 蒼井 優 渡辺 徹 / 田中泯 富司純子
【スタッフ】
監督/渡辺 歩
音楽/久石 譲
キャラクターデザイン・総作画監督・演出/小西賢一
美術監督/木村真二
CGI 監督/秋本賢一郎
色彩設計/伊東美由樹
音響監督/笠松広司
プロデューサー/田中栄子
【音楽】久石譲
【主題歌】米津玄師「海の幽霊」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
【アニメーション制作】STUDIO4℃
【製作】「海獣の子供」製作委員会
【配給】東宝映像事業部
【映画公式サイト】www.kaijunokodomo.com
【映画公式 twitter】@kaiju_no_kodomo
【6.7公開】 『海獣の子供』 予告2(『Children of the Sea』 Official trailer 2 )
https://youtu.be/QYMBF4yNOLM
【6.7公開】 『海獣の子供』 予告1(『Children of the Sea』 Official trailer 1 )
https://youtu.be/eVGbgBy_yo4
映画『海獣の子供』特報映像
https://youtu.be/XG0vQuTl_xQ
©2006 松本大洋 / 小学館、アニプレックス、アスミック・エース、Beyond C、電通、TOKYO MX
©2019 五十嵐大介・小学館/「海獣の子供」製作委員会