11月29日(金)より全国公開となる劇場アニメ『HUMAN LOST 人間失格』の業界人トーク付き先行試写会が開催された。
MCにアメコミに詳しい業界人としてSF作家・脚本家・評論家の堺三保さんを招き、ゲストの木崎文智監督、キャラクターデザインを担当したコザキユースケさん、クリエイティブ・プロデューサーの橋本太知さんの4名が”ダークヒーロー”をテーマにトークを展開した。
今日が初見だという堺は「なんで僕が呼ばれたか、なんとなくわかりました」と前置きしたうえで、「今、流行っている映画『ジョーカー』に現代的なテーマ性ということではすごく近いんじゃないでしょうか。主人公が異形のヒーローなのか、アンチヒーローなのか。そういった点では、アメコミの中でも、『ヴェノム』『スポーン』に非常に近い。アメコミ映画の日本版と古典文学の人間失格がうまく繋がったということですよね」と感想を語った。
企画意図・設定について
堺さんからの「文芸の大作がサイバーパンクに変わっているというトリッキーな企画はどのように生まれたのか」という質問について、木﨑監督「この企画の張本人がここにいるので」と、橋本さんにパスを送り、橋本さんは「オフィシャルな言い方になりますが、単純に太宰の『人間失格』はよくよく読んでみると、とても現代的で、アニメでよく扱っている題材です。言葉を選ばなければ、20年前から流行っている”セカイ系”と呼ばれるものと扱っているテーマはほぼ同じなんじゃないかなというのが一番根底にあります。日本人なら誰しも知っているタイトルですが、それをSFにしちゃえば、誰も話の中身はわからない、どう話が繋がっていくのかという興味を引くことができると考えました」と解説した。
堺さんの「健康問題と絡めたのは誰の案なのですか?」というの質問に対しては、橋本さんから「完全に、冲方さんです」ときっぱり回答、最初に企画が立ち上がったときはもっとシンプルな内容だったと説明し、「(大庭)葉藏は、ヒラメの隊員でヒーローという立ち位置だったのですが、冲方さんがあの世界観を設けて今の形になりました。その過程の中で、監督や本広さん、富安さんたちが加わっていって、シナリオなのか、画なのか、なんなのか、どこからスタートしたのかわからない感じで形になっていったと記憶しています(笑)」と振り返っていた。
アメコミとの関連性
『ヴェノム』っぽい作品だったという堺さんからの「監督の中でアメコミっぽい影響があったのか」という質問に、木﨑監督は「コザキさんから出てきたアイデア、デザインが根本になっていると思います」
コザキさん「企画書を見たときは、サイバーパンクの雰囲気でダークヒーローものでした。僕が入る前には、みんなのイメージとしてバトルスーツを着たかっこいいものというイメージがあったと思います。でも、そういうものはすでに作品としてある。『日本でダークヒーローってなんだろうね』ってところから”鬼”のモチーフが出てきました。ただ、TVアニメ「ウィングマン」のようなかっこいい系アニメはすでにあるので、インパクトを出すために、ちょっと気持ち悪くしてみよう、ということであの形になりました。僕の引き出しは大体アメコミなので、アメコミっぽくなったのはそこが理由かと思います(笑)。意識はそれほどしていないんですけどね」と解説していた。
シリアスでダーク要素が強いところは、現在ヒット中の映画『ジョーカー』に共通する部分がある
映画を観た感想として、木﨑監督は「テーマは似ていると思う。格差社会、閉塞感、そこで暴走する市民。『HUMAN LOST 人間失格』と近しいテーマを持っていると思います」
堺さん「年が上の人の怨念の話という点が共通点かな?アメコミってYear of ヴィランって呼ばれるほど、DC系はダークになっています。世の中の閉塞感が、そのままエンターテインメントに反映していると思います。映画やドラマは割と明るい方に、コミックスは暗い方にいっている。コミックスは一番ダークな時代、80年代に回帰している。『ジョーカー』『ヴェノム』80年代爆発的な人気が出た、その辺に回帰している気がする」
橋本さん「現在の世の中が、暗いってことなのかもしれない。単純に正義を信じられなくなっている感じがする。アンチヒーローの時代ではあるものの、『HUMAN LOST 人間失格』はそこを意識して作ったわけではない」ことを明かしていました。
また、堺さんからの「海外に出そう!という意識はいつ頃から?」という質問に、橋本さん「日本人じゃないと考えつかないもの、日本的なもの、エキゾチックなものを世界に出そう、というのがありました」
木﨑監督「世界で勝負できる作品を作ってほしいというオーダーはあったけれど、監督らはそんなに海外を意識していない」
コザキ「冲方さんが立ち上げた世界観に追い詰められて、あそこにしかいきようがなかった」と解説を加えた。
登壇者全員に作品の見どころとアピールポイントをPR
アメコミに詳しい堺さん、コサキさんからは『HUMAN LOST 人間失格』と一緒に観るとオススメなアメコミ、海外ドラマも教えてもらうことに。
橋本さん「本作は、スロウカーブが企画・プロデュース・製作に関わる記念作品でもあります。今後、オリジナルそして原作を含めてチャレンジングな企画をやっていきたいと思っているので、楽しみにしていてください」
堺さん「現代的なテーマ性とか、世の中の圧迫感みたいなものは、『ジョーカー』と相通づるものがあります。『HUMAN LOST 人間失格』は原作が日本のもので、老人問題や健康問題が入っている日本的なサイバーパンク。比べてみるのもおもしろいと思います」
コザキさん「最近見た海外ドラマ『GOTHAM/ゴッサム』がおもしろかったです。ファッションもものすごくキマっているし、ディストピア感もあって、犯罪で荒れた街の中でヴィランが活躍する、バッドマン登場前のお話です。本作のデザインに関しては、細かい部分にすごく凝っています。例えば美子の服。洋服だけど、前合わせが右前ではなく左前になっています。和服を継承して洋服にしているんです。葉藏の菊の紋のワンポイントなど、細かい和のテイストを楽しんでほしいと思います」
木﨑監督「普段、自分で作ったものを何度も観ようと思わないのですが、今回の場合は、ここはこうなっていたのか、という新たな発見が観るたびにあって、何度も観ています。この作品で発明があったとしたら、古典文学とSFの融合だと思っています。原作のエッセンスを活かして、ここまでやれた作品は今までなかったです。冲方さんとは、今回これができたのであれば、次は『吾輩は猫である』をやりたいよね、なんて話もしています(笑)。とはいえ、みんなが楽しめるエンターテインメントとして作っているので、気楽に楽しんでいただきたいです」と笑顔を浮かべ、この日のトークイベントは幕を閉じた。
【日時】11/11(月)
【MC】堺三保(SF作家、脚本家、評論家)
【ゲスト】
木崎文智(『HUMAN LOST 人間失格』監督)
コザキユースケ(『HUMAN LOST 人間失格』キャラクターデザイナー)
橋本太知(『HUMAN LOST 人間失格』企画・プロデュース 株式会社スロウカーブ、クリエイティブ・プロデューサー)
劇場アニメーション『HUMAN LOST 人間失格』ジャンルレスなタイアップを実施中!
新宿ゴールデン街
合言葉は“人間失格” 入口で「人間失格!」と言った方に映画コラボコースタープレゼント
※各店無くなり次第終了
人間失格ハイボールは、12月8日(日)まで販売
りんかい線
「#ヒューマンロスト目撃情報」募集中と題したTwitter企画
応募期間:12月15日(日)まで
渋谷肉横丁
肉横丁での様子を写真に撮影し、ハッシュタグ(@shibuya.nikuyokocho)をつけて投稿するインスタグラム企画応募期間:11月8日(金)~12月8日(日)まで
日本図書館協会
12月15日(日)まで、全国の公立図書館にコラボポスター掲出
自遊空間
全国の自遊空間にてプレゼントキャンペーンを実施
応募期間:11月8日(金)~12月8日(日)まで
まんが喫茶マンボー&マンボープラス
まんが喫茶マンボー&マンボープラス全店舗にてプレゼントキャンペーンを実施
応募期間:11月8日(金)~12月8日(日)まで
◆作品詳細
『HUMAN LOST 人間失格』
2019年11月29日(金)より全国公開
【イントロダクション】
太宰治生誕110周年
日本文学の傑作・太宰治「人間失格」が、本広克行×木﨑文智×冲方丁×ポリゴン・ピクチュアズ最高峰のクリエイター陣によって大胆に生まれ変わる―
破滅に至った一人の男の生涯を描く日本文学の金字塔――太宰治「人間失格」。
その深い死生観・文学性が今なお強烈な衝撃を与え続ける不朽の名作が、世界に誇る日本最高峰のクリエイター陣によってダイナミックにリメイクされる。
スーパーバイザーには「踊る大捜査線」「PSYCHO-PASS サイコパス」で社会現象を巻き起こした本広克行。監督には「アフロサムライ」「バジリスク 〜甲賀忍法帖〜」『BAYONETTA BLOODYFATE』など唯一無二のセンスで国内外から高く評価される木﨑文智。脚本には「マルドゥック・スクランブル」で日本SF大賞、「天地明察」で吉川英治文学新人賞ほか数々の賞を受賞した小説家・冲方丁。キャラクターデザインには「PokemonGO」や「ファイアーエムブレム」など数々の名作ゲームやアニメーションの登場人物を生み出したコザキユースケ、コンセプトアートには「ファイナルファンタジーXI」や「メタルギア ライジング リベンジェンス」など国内外を問わず大規模プロジェクト参加する富安健一郎が手掛け、世界観を彩る。そしてアニメーション制作は「スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ」や「トランスフォーマー プライム」など海外でも多数の賞を受賞し、アニメーション映画『GODZILLA』三部作、『BLAME!』と映像革命を起こし続けるポリゴン・ピクチュアズ。
太宰治生誕110周年を迎える2019年、最新・先鋭のクリエイティブによる、誰も観たことのない「人間失格」が世界を驚愕させる――
【ストーリー】
「恥の多い生涯を送って来ました。」
医療革命により、“死”を克服した昭和111年の東京――
人々は体内の“ナノマシン”とそれらを“ネットワーク”により管理する“S.H.E.L.L.”体制の支配により、病にかからず、傷の手当を必要とせず、120歳の寿命を保証する、無病長寿を約束された。
しかし、その究極的な社会システムは、国家に様々な歪を産み出す。埋まることのない経済格差、死ねないことによる退廃的倫理観、重度の環境汚染、そして、S.H.E.L.L.ネットワークから外れ異形化する“ヒューマンロスト現象”……。
日本は、文明の再生と崩壊の二つの可能性の間で大きく揺れ動いていた。
大気汚染の広がる環状16号線外(アウトサイド)――イチロク。
薬物に溺れ怠惰な暮らしをおくる“大庭葉藏”は、ある日、暴走集団とともに行動する謎の男“堀木正雄”とともに特権階級の住まう環状7号線内(インサイド)への突貫に参加し、激しい闘争に巻き込まれる。
そこでヒューマンロストした異形体――“ロスト体”に遭遇した葉藏は、対ロスト体機関“ヒラメ”に属する不思議な力をもった少女“柊美子”に命を救われ、自分もまた人とは違う力を持つことを知る――
堕落と死。生と希望。男は運命に翻弄され、胸を引き裂き、叫ぶ。
怒り。悲しみ。憐れみ――絶望に呑みこまれ、血の涙とともに大庭葉藏は“鬼”と化す。
貴方は、人間合格か、人間失格か――
【スタッフ】
原案:太宰治「人間失格」より
監督:木﨑文智
スーパーバイザー:本広克行
ストーリー原案・脚本:冲方 丁
キャラクターデザイン:コザキユースケ
コンセプトアート:富安健一郎(INEI)
グラフィックデザイン:桑原竜也
CG スーパーバイザー:石橋拓馬
アニメーションディレクター:大竹広志
美術監督:池田繁美 / 丸山由紀子
色彩設計:野地弘納
撮影監督:平林 章
音響監督:岩浪美和
【キャスト】
大庭葉藏:宮野真守
柊美子:花澤香菜
堀木正雄:櫻井孝宏
竹一:福山 潤
澁田:松田健一
厚木:小山力也
マダム:沢城みゆき
恒子 :千菅春香
公式サイト:https://human-lost.jp/
公式Twitter:@HUMANLOST_PR
HUMAN LOST feat. J. Balvin/m-flo Music Video
https://youtu.be/UUqpLRiGCII
「HUMAN LOST 人間失格」Official Main Trailer 【2019年11月29日(金)全国公開】
https://youtu.be/nyKxittD4EI
【コミカライズ情報】
6月25日発売の月刊アフタヌーンで連載スタート
アフタヌーン公式サイト:http://afternoon.moae.jp/
「HUMAN LOST 人間失格」Official Teaser Trailer (2019) Animated Movie
https://youtu.be/Ixff5qlLCCQ
©2019 HUMAN LOST Project