Kiramune Presents READING LIVE 10周年記念公演『ハコクの剣』Blu-ray先行上映会 記念トークイベントレポート

2022年3月19日(土)、イイノホールでリーディングライブ10周年記念公演『ハコクの剣』のBlue-ray 発売を記念した先行上映会の上映記念トークショーが行われ、主演の神谷浩史、上村祐翔、そして脚本を務めた福井晴敏が登壇。
公演の裏話に華を咲かせた。

 

 

『ハコクの剣』はKiramune(キラミューン)レーベルが主催のKiramune Presents READING LIVEで、昨年2021年10月に開催されたリーディングライブ。

脚本は『機動戦士ガンダム UC』『宇宙戦艦ヤマト 2205』の福井晴敏。江戸時代末期を舞台に“時”を操る力を秘めた「ハコクの剣」を巡り争う人々の生き様を描き出し、神谷浩史・上村祐翔ら Kiramune 所属声優陣をはじめとして、銀河万丈や高木渉などの豪華声優陣が出演。

朗読と「シャドウ」によるステージを縦横無尽に駆け巡るアクションを融合させた「新時代のリーディングライブ」として好評を博している。

今回のイベントは、Kiramune Presents READING LIVE 10周年記念公演『ハコクの剣』のBlue-ray 発売を記念し開催されたもので、W主演の神谷浩史、上村祐翔がそれぞれ主演を務めた公演を上映した後に、神谷浩史、上村祐翔、そして福井晴敏(脚本)が登壇。Kiramune の 10 周年という節目に、これまでの活動を振り返りながら、本公演の見どころや裏話を明かした。

 

 

満員の客席からの大きな拍手に迎えられて神谷浩史、上村祐翔、福井晴敏が登場。
公演2本分の鑑賞を終えた観客へねぎらいの言葉と共にそれぞれの挨拶が済むと、早速トークショーはスタートした。

まずは主演を務めた神谷、上村に脚本を読んだ感想と、それぞれが演じた佐吉というキャラクターの魅力について質問が飛んだ。

神谷は福井の手がけた脚本について「想像がつかないのに、こういう展開が見たかったんだよ、という観客の観たいものを見せてくれる。そういうエンタメ性を理解した上で執筆されてる方が、リーディングライブを手掛けると何を表現してくれるんだろうと思ったんです。脚本を読むとやっぱりそういう風になっていて、福井さんは文字で表現するとなんでも面白くなるんだなと興奮しました」と率直な印象を語った。佐吉については「真っ直ぐで正統派な主人公」と答えつつ、続けて「これまでアニメーションで正統派の主人公をあまり演じてこなかったので、僕が演じると正統派の主人公はこうなりますよということしか提案できないなと思ったんです。なので僕なりの正統派の主人公を演じたつもりです」と真正面から佐吉に向き合った事を明かしてくれた。

 

 

同じく佐吉を演じた上村は福井の脚本について「ここまで壮大なスケールで描かれて、着地点までのプロセスも本当になめらかで素敵だなと感じました」と初の福井脚本に魅了されたよう。ただ同時に佐吉を演じることについては「佐吉を演じきらないといけないというプレッシャーや責任を感じました。でもこの作品を素敵な皆さんと一緒に作り上げて、最後の佐吉のセリフが言えたら、本当に素敵な作品になって皆さんにたくさんのものを受け取ってもらえるんじゃないかと思って覚悟を決めました」と当時の心境を明かす。

 

福井には脚本家として佐吉というキャラクターを書くにあたってこだわった点や二人の佐吉の魅力を伺う。

福井は「当代きっての人気声優を使う訳でしょ。これは勝ちにいかなければと強く思いました。もちろんいつも思っていることですが、今回は短期決戦なのですぐに皆さんに感情移入してもらって、多少ベタでも悲劇的な要素もちゃんとあり、皆さんが好きなものをぎゅっと詰め込んだものを作ることが第一でした。ここにいる方が何人知っているか分かりませんが、参考にしたのはゴッドマーズです」と脚本を書く上での裏話を披露。

また、それぞれの佐吉の印象については「やっていることや言っていることは同じなのに感じさせるものがまるで違いましたね。神谷・佐吉の魅力というのは誰も寄せ付けないような態度を取っているんですが、いつも周りの人を見ている。だけど情に流されない、流されたらやられるだけの側になってしまうという警戒感からある種ツンデレっぽく振舞っている。一方、上村・佐吉は本当に一生懸命で余裕がない。周りの声が耳に入っていないかも知れないほどの必死感が真っ直ぐな純粋さにつながっているように思います。どちらも正解だと思いました」とWキャストならではの魅力を口にした。

 

 

続いて神谷から福井が脚本を担当する経緯が明かされる。

別の現場で、重厚なSF作品を手掛けることが多い福井が書いたギャグ要素たっぷりの脚本を読んだ時に改めて福井脚本のふり幅に感銘を受けて「この人なら面白い脚本を書いてくれるに違いない」と感じた神谷からアプローチ。二つ返事でOKをもらえてとても驚いたそう。一方福井も一緒に仕事をしている中で神谷の演技や笑いのツボを押さえた仕事ぶりにこの人が言うことだから間違いないだろうと思って快諾したとプロ同士ならではのエピソードが聞くことが出来た。

 

トークは出演した共演者に移り、太閤を演じた銀河万丈、高木渉について伺っていく。

神谷は共演した銀河について「せっかく福井さんに脚本を書いてもらえるならとんでもない人にオファーしてやろうと思った」と冗談交じりで話す。ただ最初はなかなか色よい返事がもらえなかったと続け、直接話をして銀河万丈ほどのベテランを万能で無敵ですごい人だと思っていたけど、不安はあるし今自分がいるところの延長線上にいることに気づいたとオファーまでの裏話を明かしてくれた。

そんな経緯があった上で「ステージ上で銀河さんがしゃべるだけで怖かったです。太閤としての存在感もありますし、銀河さんの声の圧だったり、想いだったりも分かっているからそこに立ち向かっていく役としては本当に気が抜けない感じでした」とベテランの凄味を感じさせた。

一方上村が共演した高木・太閤について「チームの空気を作ってくださいました。ご本人もすごく優しくておおらかで高々と笑っている印象でした。お芝居が始まると、太閤秀吉のコミカルさを残しつつすごく冷徹な部分もある。全4公演通して毎回違ったので、佐吉として太閤に向っていく側としては怖かったです。高木さん自身もリハーサル段階から楽しんで下さっていて、終わってからもお会いするとまたやりたいねと気さくに話しかけて出さって嬉しかったです。」と話してくれた。

 

 

福井はこの二人の太閤について「高木さんはとにかく法定速度は守らない(笑)。ここは笑わせないでほしいんですとお願いしないといけない位だったんですが空気を作ってくれたのは間違いないですね。万丈さんはすごいんです。万丈さんがその日の気分で間を取ってしゃべるとその後の人がみんな影響されてしまう。場を支配する力はすごかったです」とコメントした。

 

続いて物語でも謎に包まれていた女性・ユキノを演じた諸星すみれと桑島法子の話を伺う。

開口一番神谷が「すみれちゃん、可愛かったね」と上村もすぐさま同意し会場からは自然と笑いが起こった。

上村から男子楽屋で諸星の「ハコクの剣!」の言い方を真似していたエピソードが明かされ、諸星ユキノの愛され具合が伺えた。

また、自身主演の公演でユキノを演じた桑島ついて神谷は「ユキノとしての存在感たるや半端ない」と話し、「桑島さんは自分の世界観を持っているし、相手に合わせる事も出来る。自分の役割を果たしてぱっと去っていく精霊的な部分がある。これ以上のキャスティングはないですね」と魅力を伝えた。

それぞれのユキノについて福井は「すみれちゃんの新鮮でピュアな感じはまさにユキノという名前に相応しいですね」と話し、脚本執筆時から桑島さんだと聞いていたのであて書きしたと明かした上で「法子さんって天然じゃないですか。なんですが自分が天然であることに全く気付いていない。その感じをうまくユキノというキャラクターに持たせられればいいなと思ったんですがバッチリでしたね(笑)」と語り、桑島法子自身の魅力がキャラクターにフィードバックされていることを明かしてくれた。

 

今公演で福井は脚本以外にも役作りや映像演出にも参加。幅広く作品に関わった福井にリーディングライブに参加した感想を伺うと、「大変な所は演出の伊藤マサミさんたちが全部負ってくれていたので、楽しませてもらった部分が大きいです。映像作品もそうですが、こういうことは結局“省略の美”なんですよね。省略した所に観ている人が想像力を働かせる環境が生まれると思うので、そういう意味では舞台劇は究極の形です。これは到底できないだろうと思って書いていた所もやれちゃうんだというプラスアルファ以上の驚きがありました。色々と制約のある中ではあったんですがベストな仕事が出来たなと思います」と自信を露わにした。

また、Kiramuneのリーディングライブの魅力を問われると「今回執筆の前に『カラーズ』など以前の公演を見せて頂いたんですが、ふと皆なんで台本を持っているんだろうと思う瞬間があるんです。なんですが、神谷さんから『自分たちの声優としてのスタンスを維持したまま舞台に立って見てもらうには台本を持って舞台に上がる形が一つのスタイルでこれを崩してしまうと自分たちである意味がなくなってしまう』というお話を聞いてなるほどなと思いました。そういう意味では唯一無二ですよね。それがここまでの形になって10年やっているんですからすごいです」と語った。

そして出演者としてリーディングライブに初演から参加している神谷は「僕らが普段スタジオでやっている仕事の延長線で皆さんに評価して頂くにはどうしたらいいかと思った時に朗読というスタイルがあって、それに演出を付けてもらって皆さんに足を運んでもらえるようなエンタメ空間を作れないかという所から始めました」とリーディングライブを始めた経緯を振り返る。また、同じようにステージでの表現でも2.5次元舞台とアニメーションとの違いを『セリフの力』だと話し、舞台上で成立しているセリフでもアニメーションの感覚で観ていると印象的なセリフが来ても意外と響かないことがあり、改めて『我々(声優)はセリフに特化した生き物』だと気づいたと明かす。

その上でリーディングライブの魅力を「アクションに関しては体を動かしお芝居することに関してはシャドウの方にお任せして、僕らが声を付加していくことで皆さんが頭の中で正確なビジョンを結んで頂ければ、目の前で展開していること以上のものが頭の中で像を結ばれていれば一番良いものができるんじゃないかという思いで毎回ステージに立たせて頂いています。そこがリーディングライブの魅力なんじゃないかと思います」と語った。

また、これまで『ハコクの剣』含め3公演に参加している上村さんは1年ごとに開催されるリーディングライブは、役者陣が会わなかった期間に各々の現場で感じたことを持ち寄り、演じていくことが醍醐味だと話し、「自分の中で正解が何かともがきながら模索していく時間は役者としてはありがたいです。アフレコでは台本を頂いて自分なりに練習していざ収録してしまうとそこで一度区切られてしまって、そのシーンに出てくるセリフは下手をしたら2回目はなかったりするんです。でもリーディングライブでは何回も稽古を重ねて、本番を重ねる度にどんどんブラッシュアップされていくのを役者同士で共有し合える。その経験は本当に貴重で毎回新鮮な気持ちで演じさせて頂けるのはとてもありがたいです。声優という枠に縛られない、役者という意味での新しいスタンダードだと思っています。毎回リーディングライブが始まる時期には少し怖いと思う部分もあるんですが、その怖さはこれからどんな景色が待っているんだろう、完成形はどんな風になるんだろうというワクワク感が込められているんです。チームとして一つの作品を作っていける所が暖かくて楽しい所です」と普段のアフレコとは違うリーディングライブならではの魅力を明かしてくれた。

 

 

続けて今後リーディングライブで挑戦したいジャンルや今後の展望を出演した神谷さん、上村さんに伺う。

上村さんはコメディー作品を挙げ、この場で福井さんに脚本をオファー。福井さんも「次は宇宙などどうでしょう?」と逆に提案すると客席からは大きな拍手が沸き上がった。

実際に実現するかは今後の発表を楽しみにしてもらいたい。

神谷さんは10 周年記念公演の「ハコクの剣」である程度やり切った感があると明かし「色んな人がこういうのがやりたいというものが生まれたらそれを持ち寄って今年はこれにしようか、来年はという風になっていけばこの先、そして20年目が見えるんじゃないかと思っています」今後の展望を口にした。

 

最後は出演者3名から来場者へメッセージが送られ、Kiramune Presents READING LIVE 10 周年記念公演『ハコクの剣』Blu-ray先行上映会 記念トークショーは幕を閉じた。

福井「今回ご覧いただいた2本はBlu-rayの映像なんですが、実はこの映像通りの公演ってないんです。2公演あるうちの良い所を繋ぎ合わせたいわばディレクターズカットのようなもので作るのも大変でした。なのでぜひ手元に置いて頂いてお友達にも見せたり末永く楽しんで頂ければと思います。今日はありがとうございました」

上村「10周年という大切な節目に主役を演じられる機会を頂けるとは予想もしていなかったのですが、思い切り望ませて頂きました。福井さんからお話が合った通り、良い所の詰め合わせになっています。Blu-ryで何度も見返して頂ける位魅力あるものになっていると思います。「ハコクの剣」も含めてこれからもリーディングライブを宜しくお願いします。本日はありがとうございました」

神谷「一人でも多くの方に良いものをお届けしたいという思いでリーディングライブをやらせて頂いています。配信などの手段でも観て頂くことも出来ますが、やはりそれだと切り取られた映像になってしまい、映っていない所が分からないと思うんです。一回でも生で見て頂ければその部分が分かるので配信でも観やすくなると思いますので、コロナという状況で難しいですが、リーディングライブも生で見たことが無い方は一度でいいので会場に足を運んでいただけたら幸いです。リーディングライブに対してだったら時間が足りない位しゃべることが出来るので、定期的にこういった機会があったらとも思っています。皆さんの意見も広く取り入れて今後もリーディングライブを続けて行ければと思っておりますので、今後ともよろしくお願いします。本日は誠にありがとうございました」

 

Aチーム場面カット

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Bチーム場面カット

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パッケージ情報

発売日:2022年5月27日(金)

タイトル:Kiramune Presents READING LIVE 10周年記念公演『ハコクの剣』

出演者:

【Aチーム】上村祐翔/江口拓也/木村良平/高木渉/千葉翔也/諸星すみれ/吉永拓斗/代永翼(五十音順)

【Bチーム】岡本信彦/神谷浩史/銀河万丈/桑島法子/浪川大輔/野島健児/保住有哉/堀江瞬(五十音順)

品番:BCXM-1725

価格: 9,800円(税込)

収録内容:本編約240分+映像特典約30分

本編ディスク:2枚組2021年10月24日(日)千葉公演(舞浜アンフィシアター)千穐楽をメインに各チーム別ディスクに収録

映像特典:カーテンコール集/PV集

封入特典:ブックレット

初回仕様特典:シナリオ集(脚本:福井晴敏)/ポストカードセット(全16枚)/特製スリーブケースを予定

 

公式サイト:https://kiramune.jp/live/readinglive2021/index.html
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