劇場中編アニメーション『甲鉄城のカバネリ 海門決戦』パッケージ発売記念上映会 舞台挨拶レポート

2019年12月10日(火)、東京・新宿ピカデリーで2019年12月11日(水)の『甲鉄城のカバネリ 海門決戦』Blu-ray&DVDの発売を記念した上映会が行われました。

上映会には、荒木哲郎監督、キャラクター原案を担当した美樹本晴彦さんが登壇。

満席の観客を前に『甲鉄城のカバネリ』の制作裏話を語ってくれました。

 

トークショーは上映後に行われ、上映会のMCを務めるニッポン放送アナウンサー・吉田尚記さんの呼び込みで荒木監督、美樹本さんが入場。会場からの大きな拍手に迎え入れられました。

会場に集まった観客へのご挨拶を終えると、早速『甲鉄城のカバネリ』に美樹本さんが参加する経緯の話に。
吉田さんから「カバネリの制作が発表された時にキャラクター原案・美樹本晴彦と聞いて驚いたんですが、発案されたのはどなたからだったんでしょうか」と質問され、荒木監督は「それは自分です。時代劇でありつつヒロインものというジャンルの作品になるので、デッサン力があってリアルな世界観に軸足を置いた方でありつつ、美少女絵に強みがある方が必要でした。かつ『カバネリ』という作品は時代を感じさせない普遍的な作品にしたかったので、世代を超えて絵が愛されている方という条件で自分の脳内を検索した結果、元々ファンだった美樹本晴彦さんのお名前が恐れ多くも最上位に出てきてしまって。自分でも驚いたんですが、プロデューサー陣にも話して本当にやってもらえるかハラハラしながら和田プロデューサーからオファーしてもらいました」と、当初本当に受けてもらえるか不安の中でのオファーであったことを明かした。

この話を受けて美樹本さんは「『DEATH NOTE』は少し観ていて原作の絵をすごく大切にする方だなと思っていました」と『カバネリ』の話を受ける決め手になった理由を話し、「カバネリの企画書がお話を頂いた時点でかなり厚みがあって非常に内容が濃いものになっていました。僕の絵をかなり調べてくださっていてキャラクターの注文も具体的でとてもありがたかったです」と企画当初を振り返りました。

次に吉田さんから荒木監督に美樹本さんからキャラクター設定が上がってきた時の印象を問われると、荒木監督は「“本当に美樹本さんの画が来た!”って感じです(笑)。美樹本さんのヒストリーに自分の監督作品がラインナップされる事自体がすごく嬉しいです。夢が叶いました」といち美樹本ファンの顔を覗かせました。

キャラクター設定の話はさらに掘り下げられ、キャラクターデザインを詰める上でのクリエイター同士のやり取りに展開。

「絵というよりは、求めているキャラクターの方向性や、その捉え方についてのやり取りはしました」と荒木監督からオーダーを出したと話し、美樹本さんもそういったやり取りに「すごくわかりやすい指示を頂きましたし、監督自身も絵が上手な方だったので、キャラクターによっては描き方の提案も頂いて、とても勉強になりました」と穏やかに答えると、荒木監督は「初めて聞きました。美樹本さんの絵が好きという所がブレなければ不幸せなことにはならないと思っていましたし、そうでなければ頼んではダメだと思っていました」と憧れの先人に恐縮しながら話しました。

続いて吉田さんが思わず「無名ちゃんがエロい!最高!」とカバネリファンの気持ちを代弁してしまうほど、可愛さが光った無名の話に。

吉田さんのこのセリフを受けて荒木監督も「僕もほしかったものを美樹本さんに頂きました」と同意。無名へのこだわりについて問われると荒木監督は「やっぱりあるんだろうなぁ」と少し恥ずかしそうに答えながら「特に海門決戦はアイドル映画だと宣言していた位、無名が可愛くないと意味がないと思っていました」と力強く答えてくれました。

そして話は美樹本さんの作業環境の話に。
デビューして約40年今なお輝きを失わない美樹本さんのイラストがどのような環境で生まれているか吉田さんから質問されると、美樹本さんは「今はほぼデジタルですね。線画までは手で描いていますが、それ以降の仕上げは全部デジタルです」と答え、これを受けて荒木監督も「CGも使われていて驚きました。海門決戦のパッケージのイラストも銃剣の部分にはCGのアタリを使っていらっしゃいました」と話し、会場からも意欲的に新しい技術を取り入れる美樹本さんの姿勢に驚きの声が漏れました。

また、監督とキャラクターデザインとのやり取りの密度についても問われ、荒木監督は「頂いたキャラクターに関しては、そこから先の現場でやっていく話になりますが、イラストの案件は常にありましたので、その度に意見交換はさせて頂きました」と話し、続けて「作画作業の時はこれまでの美樹本さんのキャラクターの表情に関するアーカイブ集を作っていたので、現場ではそれを見ながら作業をしていました」と明かし、美樹本さんは「そこまでやってくれていたとは伺っていませんでした。ただ、時代が違うので同じとは言えませんが、そこまで研究して下さったのは、憶えている範囲では『トップをねらえ!』の庵野監督以来だと思います」と明かし、会場からも感嘆の声が漏れました。

トークショーも終盤に差し掛かり、改めて2019年12月11日(水)の『甲鉄城のカバネリ 海門決戦』Blu-ray&DVDの紹介に。

完全生産限定版についている特典ディスクに収録されているライカリールについて荒木監督から直接解説がなされ、「絵コンテをつないだムービーです。観て頂ければ分ると思いますが、本編とは微妙に違います。制作過程でストーリーや演出などが自分の狙ったとおりの効果を出せているかどうかをスタッフ間で検証するために作りました。それを観る鑑賞会もやって、みんなに遠慮なく意見を言ってもらって、そこから絵コンテにもう一段手を入れてから本編を作りました。Blu-rayには本編とライカリールの違いの解説もブックレットに載せてもらっています。中々興味深い資料になるんじゃないかと思います」と語りました。
他にも本作には鉄道考証の方も入っていただいたということで鉄道描写にもシリーズの時より一段踏み込んだということなので、そこにも注目です。

また、ライカリールを作った絵コンテ作成用ソフト、Toon Boom Storyboard Proの使用法について『君の名は。』や『天気の子』の新海誠監督にアドバイスを受けたという裏話も。
新海監督はとても親切に、細かく指導をしてくれたということで荒木監督も「(海門決戦ライカリールの密度の)半分位は新海監督のおかげかもしれませんね(笑)」と、会場の笑いをさらいました。
ぜひこのような経緯で作られたライカリールにも注目してもらいたい。

最後に上映会に登壇した荒木監督、美樹本さんよりイベントに参加したファンへメッセージが送られた。

美樹本「劇場での感動をぜひ、ご自宅でもご覧頂ければと思います。宜しくお願いします」
荒木監督「『海門決戦』は、今年やった仕事だけではなく、今までの仕事の中でも最も良く出来た作品だと思っています。まだまだ多くの方に見て頂きたいです。皆さん宜しくお願いします」

会場からの盛大な拍手が送られ、貴重な制作秘話満載となった『甲鉄城のカバネリ 海門決戦』パッケージ発売記念上映会は幕を閉じました。

 

イベント概要

「甲鉄城のカバネリ海門決戦」パッケージ発売記念上映イベント

【日時】
2019年12月10日(火)

【会場】
新宿ピカデリー

【登壇者】
荒木哲郎(監督)、美樹本晴彦さん(キャラクター原案)

 

★パッケージ情報

『甲鉄城のカバネリ』完全生産限定版 Blu-ray&DVD

《商品概要》
発売中
BD:10,000円+税/ANZX-15017~15018
DVD:8,000円+税/ANZB-15017~15018
ディスク枚数:2枚組
本編尺:約67分

《完全生産限定盤特典》 
(本編ディスク+特典ディスク)
●美樹本晴彦描き下ろしBOX
●江原康之描き下ろしデジパック仕様
●特典ディスク:ライカリール(仮アフレコ映像)
●オーディオコメンタリー
●特製設定資料集
●美樹本晴彦入場者特典イラストピンナップ

《特典映像》
●「咲かせや咲かせ」 ノンクレジット映像
●「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」海門決戦ノンクレジット映像
●「ninelie」海門決戦ノンクレジット映像
●オーディオコメンタリー
本編ディスク出演:畠中祐・千本木彩花・内田真礼・増田俊樹・荒木哲郎・岡安由夏
特典ディスク出演:荒木哲郎・大河内一楼・笠岡淳平・中武哲也・岡安由夏
※特典・仕様は予告なく変更になる場合がございます。

 

甲鉄城のカバネリ 海門決戦/Blu-ray&DVD 告知CM第2弾
https://youtu.be/EUf0SWoYRbc

 

★作品詳細

甲鉄城のカバネリ 海門決戦

【スタッフ】
監督・脚本:荒木哲郎
構成:大河内一楼
キャラクター原案:美樹本晴彦
アニメーションキャラクターデザイン・総作画監督:江原康之
サブキャラクターデザイン:尾崎智美 山内遼
コンセプトアート:よー清水 森山洋
デザインワークス:形部一平 胡拓磨 村田護郎
プロップデザイン:常木志伸 吉川真一 西原恵利香
美術デザイン:平澤晃弘 谷内優穂 杉本智美
メイクアップアニメーター:中愛夏 三田遼子
美術監督:吉原俊一郎
色彩設計:橋本賢
3D監督:廣住茂徳 今垣佳奈
撮影監督:山田和弘
編集:肥田文
音響監督:三間雅文
音響効果:倉橋静男 山谷尚人
音楽:澤野弘之
アニメーション制作:WIT STUDIO
制作:カバネリ製作委員会
配給:松竹メディア事業部

【キャスト】
生駒(いこま):畠中 祐
無名(むめい):千本木彩花
菖蒲(あやめ):内田真礼
来栖(くるす):増田俊樹
鰍(かじか):沖 佳苗
侑那(ゆきな):伊瀬茉莉也
巣刈(すかり):逢坂良太
吉備土(きびと)佐藤健輔

<公式サイト>http://www.kabaneri.com/
<公式Twitter> https://twitter.com/anime_kabaneri

劇場中編アニメーション『甲鉄城のカバネリ 海門決戦』咲かせや咲かせPV
https://youtu.be/MIYLwiBtndE

©カバネリ製作委員会