アヌシー国際アニメーション映画祭2020で最高賞のクリスタル賞を受賞したフランス・デンマーク産アニメ『カラミティ』。
『カラミティ』日本語吹替え版の完成披露上映が3月12日(金)より開催されている東京アニメアワードフェスティバル2021で行われ、主人公マーサ・ジェーンを務めた福山あさきさんをはじめ、イーサン役の畠山航輔さん、エリージャ役の木野日菜さん、イヴの父親を演じた上田燿司さんが登壇した。
『カラミティ』は、東京アニメアワードフェスティバル2016でグランプリを受賞するも公開のめどが立たず、3年の歳月を経てようやく一昨年日本公開された『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』のレミ・シャイエ監督の最新作。
輪郭線を廃し、あたかも美しい絵画のような美しいシーンに、波乱万丈な冒険談を織り込む作風に更に磨きがかかっていると高い評判を得た本作の日本語吹き替え版の完成披露上映が3月14日(日)に実施された。
舞台挨拶は鑑賞後の観客の大きな拍手に迎えられ、福山あさきさん、畠山航輔さん、木野日菜さん、上田燿司さんが登場。
今の心境を問われ、福山さんは「今日を無事に迎えられたこと、ここに立てていることにを嬉しく思います。完成したカラミティを観て胸がドキドキしました。自分が演じたマーサが画面の中にいることにとても感動して、夢のようでした。観てくださった皆さんにこのカラミティがどのように届いたのか、皆様にどのような感想が頂けるのか、とても不安でもありますがとても楽しみでもあります」と今の心境を明かした。
木野さんは「とても個人的な話ですが」と前置きしつつ「オーディションの時にエリージャを観て、この子を絶対演じたいなと意気込んで臨んだ作品でした。収録した時はコロナ禍ということで皆さんと収録できなくて、作品に参加できたという実感があまり感じられていませんでしたが、本日を迎えて実感することできました。皆さんに作品を届けることができてとても嬉しく思います」と笑顔を見せた。
畠山さんは「今回初めて吹き替え作品に参加させて頂きました。外画作品の収録はいつものアニメ作品の収録と違うこともあり、難しいなと感じることもありましたが、外画デビューがこの作品で良かったなと思うくらい素敵な作品です。ご覧いただいたように繊細なタッチだったり、豊かな登場人物であったりと魅力的な作品ですので、皆さんに観て頂けたことが幸せです」と顔をほころばせた。
上田さんは「杉田智和です(笑)」と会場の空気を和ませ、「前作の『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』からとても注目していたレミ・シャイエ監督の作品に参加できてとても光栄です。そして無事完成して、この東京アニメアワードフェスティバル2021という大きな舞台で完成披露を迎えられたことにとても幸せに思っています」と今の心境を話してくれた。
そして話が福山さんが、同じ配給会社で昨年公開の『マロナの幻想的な物語り』で「通行人A」を演じ、本作で主人公のマーサに抜てきされた“シンデレラストーリー”に触れられると、福山さんは「去年通行人役をやらせて頂いた時は、声優になって数ヶ月しか経っていない状態だったので、右も左も分からない状態で現場に行って心臓が飛び出そうになりながらやらせて頂いたのを今でも覚えています」と当時を振り返り「そんな私が主演ということで信じられませんでした。出来上がった作品を観てようやくマーサを演じたいんだという実感が湧きました」と感無量の表情を浮かべた。
上田さんからは「本当に素直で真っ直ぐなお芝居と声をされている。それがマーサ・ジェーンのバイタリティーだったりとピタっとシンクロしていて本当に素晴らしいなと思います。そのままピュアで真っ直ぐに行ってほしい」とエールを受けると、「うれしいお言葉、ありがとうございます。きょうはグッスリ眠れます(笑)」と笑顔で話していた。
そして話は上田さんのデビュー当時の話におよび、先輩声優の思い出話に観客・登壇者全員が興味深く耳を傾けた。
また、役を演じた上で大事にされたことや気を付けたことやアフレコ現場での様子の話になり、コロナ禍で集まってアフレコできない中で若手の多い本作では、それぞれの必死に前向きに取り組んでいる情熱がフィルムに乗せられていると上田さんが話してくれた。
他にもそれぞれの好きなシーンや演じる上で苦労したことなど、鑑賞後の舞台挨拶ならではのネタバレありの話題で大いに盛り上がった。
最後に福山さんより「マーサの良くも悪くも真っ直ぐで、自分を信じて突き進む姿は観ている人に勇気を与えてくれると思っております。選択肢は一つではなくて、自分の行動次第で無限に広がることを『カラミティ』を通して多くの人に届けばなと思っています」と締めくくった。
ストーリー
『カラミティ』は、西部開拓史上、伝説の女性ガンマンと知られるマーサ・ジェーン・キャナリーの子供時代(11歳)の物語です。マーサは家族とともに大規模なコンボイ(旅団)で西に向けて旅を続けていますが、旅の途中、父親が暴れ馬で負傷し、マーサが家長として幼い兄弟を含め、家族を守らなければならない立場になってしまいます。普通の少女であったマーサは、乗馬も、馬車の運転も経験がありません。そんなマーサは、少女であることの制約に苛立ち、家族の世話をする義務をよりよく果たすために少年として服を着ることを決心します。女性は女性らしくという時代にあって、マーサの生き方は、古い慣習を大事にする旅団の面々と軋轢を生みます。更にマーサを野獣からの危険から救ってくれた中尉をコンボイに引き入れたことで、盗みの共犯の疑いまでかけられてしまいます。そして・・・。
★作品詳細
2021 年夏公開予定
タイトル: カラミティ
監督: Rémi Chayé レミ・シャイエ
原題: Calamity, Une Enfance de Martha Jane Cannary
英語題名: Calamity, a childhood of Martha Jane Cannary
〈日本語吹き替えキャスト〉
マーサ・ジェーン:福山あさき
アブラハム:杉田智和
レナ:松永あかね
エリージャ:木野日菜
ロバート:常盤昌平
イーサン:畠山航輔
イヴ:木戸衣吹
イヴの父:上田燿司
エスター:堂坂有希
ベラ:渡辺はるか
みつあみ少女:堀越せな
少女A:武藤志織
サムソン:恵山渉一
ジョナサン:林瑞貴
ムスタッシュ:南條ひかる
大佐:中山祥穂
カーソン:成澤卓
保安官:川上晃二
軍服の男:森嶋秀太
パイプの男:蓮岳大
ルイ:中村精道
丸顔の男:浅水健太朗
少女B:夜道雪 ほか
2020 年|フランス・デンマーク|フランス語|日本語字幕|日本語吹替え|DCP|カラーCS|82 分
公式サイト:https://calamity.info/
公式 Twitter:https://twitter.com/calamity_movie
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