『シドニアの騎士』『BLAME!』の原作者である弐瓶勉と、これらの作品を圧倒的なクオリティでアニメーション化してきたポリゴン・ピクチュアズとの最強タッグによる大型プロジェクト『大雪海のカイナ』。
「月刊少年シリウス」で漫画連載もされ、2023年1月よりフジテレビ「+Ultra」ほかでTVアニメが放送される。
9月9日(金)に新文芸坐でTVアニメ「大雪海のカイナ」の特別試写会が開催され、安藤裕章監督、守屋秀樹(アニメーションプロデューサー)、森彬俊(プロデューサー)が登壇。
本編上映後にスタッフトークショーとして、2023年1月に放送を控える「大雪海のカイナ」の魅力について語り合った。
◆日時:9月9日(金) 20:20〜20:40
◆会場:新文芸坐 (〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目43−5マルハン池袋ビル)
◆登壇者:安藤裕章監督、守屋秀樹(アニメーションプロデューサー)、森彬俊(プロデューサー)
安藤監督をはじめ、顔馴染みのスタッフ同士の和やかな挨拶からイベントはスタート。
『シドニアの騎士』『BLAME!』の原作者である弐瓶勉と、これらの作品を圧倒的なクオリティでアニメーション化してきたポリゴン・ピクチュアズとの最強タッグによる大型プロジェクト「大雪海のカイナ」。
今までの弐瓶作品とは対極的な王道ファンタジーとなる本企画の始まりについて守屋プロデューサー(以降守屋P)は、「2014年の夏ごろから、弐瓶先生の家でポリゴン・ピクチュアズのメンバーで毎月1回ぐらいお邪魔して、企画についてみんなで色々と話し合って2年ぐらいかけて、企画書にまとめ上げました」と本作が生まれた流れを語り、安藤監督については「元々、弐瓶先生ファンで『シドニアの騎士』では絵コンテや演出をやっていただいており、今回、先生の新作ということでぜひ監督をやって欲しいとお伝えをしました」と語った。
今回の企画を受けたポイントについて森プロデューサー(以降森P)は「弐瓶先生のイメージボードを見せてもらった段階から画期的な企画になることを感じていて、こういう挑戦的な投資ができるのは、「+Ultra」ならではだと思い喜んで参加をさせていただきました」と本作の企画段階で感じた魅力について語った。
今回の「ボーイ・ミーツ・ガール」的な王道ファンタジーの設定で、より多くの人に受け入れやすい物語づくりを意識したかという質問に安藤監督は「本作の舞台が見たことのない不思議な世界なので、その中で描かれる物語は、逆にスタンダードであった方が良いのではないかと考えた」と話し、守屋Pも「最初に企画をした段階で、広い視聴者層に向けて物語を展開していくことを意識していました。様々なジャンルの作品を手掛けていらっしゃる脚本担当の村井さだゆきさんと山田哲弥さんには、色々アイデアをいただきましたね。」と本作の物語の制作過程を語った。
安藤監督は「とはいえ、ファンにはたまらない弐瓶ワールドが出ていますね」とコメント。
本作の進化した3DCGアニメのこだわりポイントについて聞かれた安藤監督は「作っている中で作画アニメと正面から同じものを作ろうとは思ってはいなくて、3DCGならではの良さを生かす演出方法を『シドニアの騎士』を担当させてもらった時から一貫してこだわっていて。その時の成功の結果から、この路線が合っていることを確信して、今回はその上での正当な進化の映像だと思ってもらえれば」と語った。
本作の世界観を作り上げている雪や樹などについて安藤監督は「軌道樹から降っている大雪にこの世界は覆われ、大地はすべて隠されています。住む人は木の麓でしか住めないのですが、大地がないので金属がない。さらに軌道樹からしか水源が取れず、水不足に陥っているという状態です。」この世界では、使える材料が木や貝、動物、昆虫などしかなく、すべてそこから採れるものだけでデザインをしており、一般的な世界だと大体金属や土という素材からデザインされているものが多いため、本作のデザインにおいては参考になるものがなく、すべてを一から考えなければいけない点が、楽しくも大変だったと苦労を語った。
守屋Pは弐瓶先生のこだわりについて「今回は設定もストーリも本当にゼロからで、過去作では弐瓶先生の描いた漫画作品をどうアニメ化していくかという流れでしたが、今回はオリジナルなのでかなり時間がかかってしまいました。剣も実は貝が素材など細かい設定があるので、それに伴って音も微妙に変えてもらったりなど、丁寧に作っています。」と本作の世界観の細部を披露。
また、建築もすべてその世界観の材料で作られているため、既存のデザインでは作れないような美術泣かせな企画でありながら、今回9割以上の背景美術を社内で制作したという。この10年でのポリゴン・ピクチュアズの成長も感じることができたと感慨深く語った。
そして、本作で度々出てくる看板が日本語である点について問われた森Pは「それは今後のお楽しみですね」と含みを持たせたコメントを残した。
本作の映画を思わせる映像の仕上がりについて安藤監督は「すごく欲が出てしまい、一緒に作ってくれたスタッフには苦労をかけてしまいました。ありがとうございました」とあらためて感謝のコメント。
守屋Pは『シドニアの騎士』の時から監督の映画的な演出を感じていたといい、今回もすごくハマっていたと話した。森Pもテレビアニメのクオリティを凌駕している本作について「このクオリティでテレビシリーズをお届けできるのはお客さんにとってリッチな体験になる」と監督とポリゴン・ピクチュアズのスタッフへあらためて感謝を伝えた。
最後に守屋Pは「ポリゴン・ピクチュアズ設立30周年記念作品として『シドニアの騎士』のアニメ化をやらせていただいて、40周年でまた弐瓶先生が描くオリジナルストーリーをやらせていただくことができて感慨深いです。通過点ではありますが、スタジオとしての進化を見てほしい」コメント。
森Pは「やはり弐瓶先生の作品が持つもののひとつに『BLAME!』だったら都市だったり、『シドニアの騎士』ではガウナみたいな、人間が畏怖してしまうような存在が出てくると思うのですけど、今回の『大雪海のカイナ』はそれがまさにこの“自然・世界”だと思っているので、畏怖してしまうようなこの世界を存分に楽しんでいただけるんじゃないかと思っています」と本作への自信を語った。
そして安藤監督は「『シドニアの騎士』の時から一貫している臨場感を楽しんで欲しい。画だけでなく音楽や音響も含めて、全てで出来上がっているものなので、観ている人がまるでその場にいるかのようなハラハラドキドキな体験をできる。この世界を作り上げるのに、ずっと前から一緒に仕事をしてきた信頼できる映像スタッフの方々に参加していただいて、音響や音楽に関しても信頼できるメンバーが担当してくれたおかげで、素直に観て楽しめる作品になったと思いますので、ぜひ楽しんでください」と本作の完成度の高さを感じさせるメッセージで締めくくり、イベントは幕を閉じました。
イントロダクション
拡がり続ける「雪海」により、大地が消えかけた異世界――。
人々は巨木「軌道樹」の根元や頂から広がる「天膜」の上でかろうじて暮らしていた。
天膜の少年カイナと、地上の少女リリハが出会うとき、滅びかけた世界を変える物語が、始まる――。
本作は、世界各国から高い評価を受けている漫画家・弐瓶勉と、弐瓶勉作品を圧倒的なクオリティでアニメ化してきたポリゴン・ピクチュアズによって、生み出されるプロジェクトです。漫画連載は『獣の奏者』の武本糸会、TVアニメは安藤裕章(代表作:「LISTENERS リスナーズ」「亜人」)を監督に迎え、壮大なファンタジーストーリーを描きます。長い構想期間を経ていよいよ始動する本作は、ポリゴン・ピクチュアズ設立40周年記念作品としても公開。ぜひ、ご期待ください!
☆作品詳細
大雪海のカイナ
【TVアニメ 放送情報】
フジテレビ「+Ultra」ほかにて2023年1月放送予定
【スタッフ】
原作:弐瓶勉
監督:安藤裕章
脚本:村井さだゆき・山田哲弥
アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ(設立40周年記念作品)
【キャスト】
カイナ:細谷佳正
リリハ:高橋李依
ヤオナ:村瀬歩
アメロテ:坂本真綾
オリノガ:小西克幸
ンガポージ:杉田智和
ハンダーギル:檜山修之
ハレソラ:堀内賢雄
【WEB】
公式サイト:ooyukiumi.net
公式Twitter: @ooyukiumi_kaina
【漫画連載情報】
2月26日発売「月刊少年シリウス」にて漫画連載開始!
講談社により、英語版がアジア以外の全世界でもクランチロールにてサイマル配信予定!
原作:弐瓶勉(東亜重工) 漫画:武本糸会
TVアニメ『大雪海のカイナ』ティザーPV/2023年1月放送開始
https://youtu.be/wHsJjEQsWKI
「大雪海のカイナ」プロジェクトPV
https://youtu.be/IQA0wQPqFgs
Ⓒ弐瓶勉/大雪海のカイナ製作委員会