「Re:ゼロから始める異世界生活」「転生したらスライムだった件」「薬屋のひとりごと」「無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜」など数々の名作を世に送り出し、アニメファンにもなじみ深い「小説家になろう」に掲載され、非なろう系ジャンルにも関わらずユーザの間で密かな人気を博した知る人ぞ知る名作『正しいアイコラの作り方』。
監督・神谷正智がその完成度の高さに魅了され、8年の準備期間の末に映像化。池袋 シネマ・ロサで公開中です。
本作は河原に遺棄されたエロ本を拾うために深夜徘徊していた富岳三郎が、路地裏で幼馴染のローカルアイドル谷川あさひを見かける。こんな夜更けに何をしているのだろうと不思議に思うものの帰宅。翌朝のニュースであさひを見かけた場所で死体が発見されたことを知って驚愕することから始まるオフビート×こじらせ青春ムービー。
今回は本作で主人公・富岳三郎を演じる坪根悠仁さんに作品の見所をインタビュー!
実はオタクと話す坪根さんの好きなアニメについても伺いました!
――本作への作品へはどういった経緯でご出演されたのでしょうか。
坪根悠仁:
神谷監督からオファーをいただいたのがきっかけです。
共通の知り合いである西川(達郎)監督神谷監督に僕を紹介してくださったようで、実際に神谷監督とお会いして決まったという感じです。
――坪根さんが演じる三郎という人物は作中でもモノローグのセリフも多くありますが、三郎にどんな印象を持ちましたか?
坪根:
脚本をいただいた時の第一印象からナレーションの量が莫大だなと思っていて、まるで小説を読んでいるように感じました。
物語も深夜にエロ本を買いに行く所から始まって、そこは個人的にもツボにハマりました(笑)
三郎の欲望のまま勝手に体が動いちゃいますって感じは『ザ・男子高校生』っていう印象でした。
――坪根さんご自身は衝動的に動いてしまったという経験はありますか?
坪根:
そうですね(笑)
僕自身もこれがしたいっていうものがあれば割と昔から考えるよりも先に行動しちゃうタイプではあります。芸能界に入ったのもそれがきっかけになった部分もあるかもしれませんね。
行動力は結構あるかもしれないです。
――作品のタイトルが「正しいアイコンの作り方」と個性的なタイトルに感じますが、タイトルの印象と実際に脚本を読んでからの印象の違いみたいなものってありましたか?
坪根:
タイトルだけ見た時は「??」でした。(笑)
脚本を読む前は下ネタが多めの内容だったりするんじゃないかとか思ったりしたんですが、読み終わってみるとここでタイトルを回収するのかと感心しました。
――神谷監督とは今作が初めてのお仕事だと思いますが、実際に対面した時はどんな事をお話したか覚えていらっしゃいますか?
坪根:
一番最初からこの作品をどう一緒に作っていくかという話から始まって、今回は本読みがあったので、このシーンはどうしたいかなど監督から指示をもらいたくさんお話させて頂きました。
――今作は監督ご自身がアニメ「四畳半神話大系」を参考にしたとコメントされています。その辺りが三郎の心の声(モノローグ)の部分と重なってくると思います。
実際坪根さんのセリフも多くなっていますがその辺りは大変でしたか?
坪根:
すごく大変でした(笑)
「四畳半神話大系」のモノローグを意識していることは神谷監督から聞いていたんですよ。
実際に作品も観たんですが、かなり早口じゃないですか。
実際やってみるとすごく大変で…。
何なら一番大変だった部分かもしれません(笑)
スケジュールも限られていたので、最後に一気にモノローグ部分を録ったんですよ。
噛まないようにしなきゃっていう思いでいっぱいで(笑)
三郎の感情を意識するというよりも淡々としゃべることを意識しました。
――モノローグの三郎、男友達といる三郎、女の子といる三郎などシチュエーションで微妙に雰囲気の違いが伝わってきました。
序盤は男子校でのシーンも多かったと思いますが、楽しんで撮影できましたか?
坪根:
作中の三郎はあまり周り人と打ち解けない人物なんですが、僕自身は楽しく撮影させてもらいました。
僕は共学だったので、男子校ってこんな感じなのかなって体験をさせてもらいました(笑)。
ただ、クラスメイトのキャストさん自体が少なくて、撮影の合間にあんまり喋る機会がなかったのが少し残念でした。
――特に月山役の菅生(直也)さんとのシーンは男子高校生感がすごく出ていたと思うんですが、撮影の前に何か打ち合わせはしたんですか?
坪根:
取っ組み合いがあるシーンとかはこうした方が苦しく見えるんじゃないかとか話し合いましたね。
この作品自体が色々な要素が取り入れられていると脚本を読んで演じて感じました。
主体はラブコメなんですが、そこにミステリーもありつつ、コメディーも入っていてなおかつ下ネタも入っている感じで良い意味で贅沢な作品になっています。
――モノローグが多くて演技面では大変だったという事でしたが坪根さんご自身は富岳三郎という人物の第一印象はどう思われましたか?
坪根:
エロ本を拾いに行く所から始まっているのでザ・男子高校生って感じだなっていうのが最初の印象でしたね(笑)。
結構真面目で自分で抱え込んじゃうタイプかもしれないですね。
相談とかしないで自分で解決しちゃうような。
――役作りの面で何を意識しましたか?
坪根:
姿勢や表情だったりっていうのは気にしていて、あえて少し姿勢を悪くしてたんですよ。
三郎って真面目なんですけど、過去のことがあってあんまりその他の生徒となじめないって印象を受けたので、孤独じゃないですけど、どこか一人でいる状態っていうのを表現したくて、それこそ教室のシーンだったりとか、あんまりみんなとワイワイせずに自分を貫いている感じの表情だったり、姿勢っていう所を意識していました。
――ちなみに坪根さんご自身の学生時代の思い出は?
坪根:
高校生の頃の学園祭でバンドをやったのでそのステージはすごく印象に残っていますね。
あまりみんなの前でステージに立って何かするタイプじゃなかったので。
――もしかしたら三郎の花笠のシーンと重なるところがあるかもしれませんね。
坪根:
あの花笠のシーンっていうのは三郎の心情の変化でもあるなってすごく感じてるので、大事なシーンだなって思います。観ると笑えるんですけどね。
――作品の舞台が山形県という事でしたが山形を満喫できましたか?
坪根:
山形県に初めて行ったんです。
しかもありがたいことに、夏と秋と冬に分けて3回も撮影に行かせて頂いて、春夏秋冬の内3つの山形の景色を楽しませてもらいました。
あと、ラーメン食べました(笑)
この作品を観れば春以外の季節が楽しめると思います。
――ヒロインの2人についても伺えればと思います。花音さん演じる谷川あさひと髙石あかりさん演じる劔鈴はどういった印象でしょうか。
坪根:
あさひは謎めいたキャラクターですよね。
脚本を読んだ時もそうだし、作品を観た方もこの子は一体どういう子なんだろうっていうのが多分最後まで掴めないと思います。
最後の最後でやっと少し分かってくるみたいなキャラクターなのかなって思います。
鈴はインパクトでしかないですよね。
最初の登場シーンから最後まですごく印象に残るキャラクターだなって思いました。
外見もですし中身もすごいじゃないですか(笑)
だからあさひと鈴は対極にいる存在だなって思います。
特に鈴は作品のコメディー部分の軸を引っ張っていく存在ですよね。
――本作は事件は起こっていますが、登場人物に悪い人がいない作品だなと思いました。
坪根:
そうですね。
こんな世の中になれば良いなとは思います。
犯人やストーカーだったりそういうのはいますが、基本的に登場人物がに良い人ですよね。
――ストーカーと言えば三郎がいきなりスーツ姿の大人に謝られるシーンは印象的でした。
坪根:
あのシーンはやっていても怖かったですね。
シーンとは言え僕よりもだいぶ年上の方に土下座をされるのは心に来るものがありました。
ちょっとリアルな表情が混じっていたかもしれません(笑)
――この他ご自身が出ているシーンでも出ていないシーンでもいいのですが印象に残っているシーンはありますか?
坪根:
僕自身初めての主演という事もあってほとんど印象に残っているんですが、あえて挙げるとすればタクシーでの凛とのシーンですね。
このシーンは実際に動いているタクシーの車内でカメラ一台でのワンテイクでのチャレンジだったので緊張もあって、かつ好きなシーンだったので印象に残っています。
――ちなみに出演されていないシーンではどのシーンが印象に残っていますか?
坪根:
子供時代の3人組でのシーンは好きですね。
ドルジ・あさひ・三郎の3人が縦に並んでる横カットめっちゃ好きです。
ここは物語的にも3人の過去が分かる大事なシーンですね。
――最後に「アニバース」がアニメ情報を主に取り扱っている媒体という事で、坪根さんにもこの辺りも伺っていければと思います。坪根さんご自身はアニメやゲームって好きですか?
坪根:
結構インドアなのでアニメもゲームも好きなんです。
それこそ小説家になろうから出た作品だと「Re:ゼロから始める異世界生活」(以下、リゼロ)とかすごく好きで、ハマって観てました。
「小説家になろう」発でアニメ化される作品も多いじゃないですか。それでハマっていく人も結構いると思うんですが、僕もその一人ですね。
アニメ自体が色んな世代に広がっているなって感じていて、以前だとその作品が好きな人周辺の界隈だけって印象でしたが、今は僕よりも若い世代や詳しくない方でも好きな方もいらっしゃいますし。
――「リゼロ」にハマっているということですが、アニメが好きになったきっかけの作品は何ですか?
坪根:
昔から好きだったのは「ドラゴンボール」ですね。「ドラゴンボール」が大好きで、僕が小学生ぐらいからレンタルショップでDVD借りて何周も観るぐらい好きでした。
あとは何だろうな。。
いっぱい好きな作品はあるんですけど、絞るってなると難しいですよね(笑)
――最後に改めて坪根さんの方から見所を交えてメッセージをお願いします。
坪根:
作品はミステリーだったり、甘酸っぱい青春ラブコメだったり、コメディだったりと色んなジャンルが凝縮されたある意味で贅沢な作品だなと思っています。
基本的に会話劇が多いんですけど、そういうアニメや小説が好きな方にすごくマッチする作品だと思っているので、ぜひご覧ください。
ナレーションが莫大だったりすごく情報量が多い作品で、1回だと細かい所まで分からなかったなっていう方が多分いらっしゃると思うので、何度でも楽しんでもらえたら嬉しいです。
映画 『正しいアイコラの作り方』 予告編
https://youtu.be/FXrNlBJaAT8?si=DAaMeEc0ytggCoW5
☆作品詳細
正しいアイコラの作り方
2024年2月10日〜3月8日 東京都 池袋 シネマ・ロサ
2024年3月16日〜3月23日 大阪府 シアターセブン
近日公開 愛知県 シネマスコーレ
〈出演〉
坪根 悠仁、花音、髙石 あかり
菅生直也、古林南、大石菊華、新良貴優士、高橋和心、井上慶人、満利江(友情出演)
〈スタッフ〉
監督/編集:神谷正智
脚本:神谷正智・神谷正倫
原作:水月一人『正しいアイコラの作り方』
プロデューサー:佐藤哲哉
撮影:山田笑子
照明:蟻正恭子
録音:織笠想真・渡部雅人
音楽:永井カイル(THA NEON LILY)
HP:https://sorekara.wixsite.com/tadakora
X:@tadashiiaikora
©2024正しいアイコラの作り方