日本映画の黎明期、サイレントからトーキー初期にかけて活躍し、その後若くして夭折した映画監督・山中貞雄。彼が生前遺した「鼠小僧次郎吉-江戸の巻」を、『銀河鉄道999』『幻魔大戦』の日本が誇るアニメーション監督・りんたろうがサイレントアニメーション化した「山中貞雄に捧げる漫画映画『鼠小僧次郎吉』」。
第1回新潟国際アニメーション映画祭でワールドプレミア上映され、フランスのアヌシー映画祭、リュミエール映画祭での上映を経て、今年9月にアメリカ・ロサンゼルスで行われた日本映画祭にて最優秀アニメーション賞を見事受賞。国内外の映画祭での上映が相次ぐなか、今回11月23日(土)よりユーロスペースにて上映が決定した。
本作の上映に合わせ、【りんたろうMEETS山中貞雄】と題し、現存する数少ない山中作品の中から『丹下左膳余話 百萬両の壺』『河内山宗俊』『人情紙風船』の傑作3本を同時上映。
また、【りんたろう自選作品集】として、『カムイの剣』『幻魔大戦』といったメインストリームな作品から『48×61』『オサムとムサシ』『火の鳥 鳳凰編』ほか滅多にスクリーンではお目にかかれないオルタナティブ的な作品まで日本アニメ史に刻まれる名作が一挙上映される。
今回、本編の中から、大友克洋キャラクターデザインの本編冒頭の特別映像を解禁!
また、ここでしかみられない貴重な作品が並ぶタイムテーブルとゲストトークの全貌が公開となった。
山中貞雄に捧げる漫画映画 鼠小僧次郎吉 宣伝用映像素材
https://youtu.be/ojuyiC9_59w?si=GVujsdOpNaPi5s2u
現存する作品は数少ないながら、日本映画史に多大な影響を及ぼす山中貞雄。本作は、日本のアニメーション界の創世記から現代まで第一線で活躍を続けるりんたろう監督が、山中貞雄への熱き思いを込めた恋文的作品となった。
今回解禁となる本編特別映像は、冒頭プロデューサーや撮影所所長らお偉方の「いいシャシン頼むね〜」の声を背負いながら山中貞雄監督があくびをしながらどっしりとディレクターズチェアに座り込み、カットのスタートをかける様子が描かれる。
マイペースなそれまでの様子と違い、鋭い眼光で見つめる山中監督。ただよう緊張感。「ヨーイ・・・・ホイ」という独特な掛け声とともにカチンコがなると、寺の鐘とともに音楽が走り出す。美しく水面に光る月と舞い散る紅葉、そして、駆け出すネズミと謎の人影・・・
音楽と映像が巧みに折り重なって、“何かが起こる”予感に満ちた映像となっている。
この冒頭の山中貞雄パートのキャラクターデザインを手掛けたのは、大友克洋。りんたろう監督は、山中が残した脚本をそのまま映像化するのではなく、「山中貞雄へのオマージュ」として本作を構想していった。その中で白羽の矢が立ったのが大友克洋。自身も山中のファンだという大友は、りんたろう監督からの打診を即決。山中貞雄自身の写真も数枚しかなかったというが、見事に特徴を捉えたキャラクターとなった。
また、本編中の「鼠小僧次郎吉 江戸の巻」のキャラクターデザインは兼森義則が手がけているが、このパートにはさまざまなモチーフが散りばめられている(昭和の大スターのあの人も登場!?)。アニメファンのみならず根っからの映画ファンには、そういった作り手の遊び心を見つけるのも楽しみの一つだろう。
また、これから日本映画の名作に触れたいと思う人にも23分の作品なので、入門編としてご覧いただくにも最適。「八犬伝」「十一人の賊軍」「侍タイムスリッパー」など、日本映画界で時代劇が元気を取り戻した2024年、アニメ界にも今再び新しい<時代劇>の風が吹く。
ストーリー
江戸八百八町が夜の闇に包まれると屋根裏でガサゴソとする奴が現れる。
大富豪から富をいただき貧しい庶民にばら撒く義賊、ご存じ鼠小僧次郎吉。
夫に先立たれ、小さな我が子と辛い日々を送る町人お鈴。
そんなお鈴を利用して鼠小僧の正体を暴こうとする梵字安五郎と長五郎。
罪を憎んで人を憎まず、経験と勘で補物名人と謳われる岡っ引き勘右衛門。
江戸の街を舞台に繰り広げられる哀愁を誘う人間ドラマ
映画監督山中貞雄はそんな夢をみている…
タイムテーブル&ゲスト発表!
【りんたろうMEETS山中貞雄】では、夭折した山中貞雄監督が残した現存する3本の作品『丹下左膳餘話 百萬両の壺』『河内山宗俊』『人情紙風船』の3作品上映する。サイレント映画期の「画で見せる」巧さからトーキー時代に移って男の意地と女の秘めた情を巧みに描いた“天才”。時代が変わっても全く古びれることのない名作をぜひ味わってほしい。
【りんたろう自選作品集】として、『幻魔大戦』『迷宮物語』『メトロポリス』といった代表作の他にも、今まで上映機会が多くなかったOVA作品『真・孔雀王』(「天魔復活」「崑崙鳴動」)、矢野顕子が主題歌を歌う『X電車で行こう』、幻魔大戦以来、20年来の親交を深める大友克洋監督へのエールとして制作した『48×61』(寺田克也(キャラクターデザイン)、本多俊之(音楽)、マッドハウス(制作)という超一流スタッフによる前代未聞の激励アニメ!)、手塚治虫記念館のために作られ、少年時代の手塚治虫とペンネームの由来の昆虫との交流を描いた『オサムとムサシ』など貴重な作品が特別上映される。
りんたろう監督による舞台挨拶やトーク、また長年の盟友であり日本アニメーション界の重鎮・丸山正雄プロデューサーとのトークなど、必見のプログラムとなっている。
11/23㊏ 10:35 『鼠小僧次郎吉』+『幻魔大戦』
★りんたろう監督 初日舞台挨拶
14:00 『鼠小僧次郎吉』+『丹下左膳餘話 百萬両の壺』
★りんたろう監督短い初日舞台挨拶
11/24㊐ 11:05 『鼠小僧次郎吉』+『迷宮物語』+『火の鳥 鳳凰編』
13:45 『鼠小僧次郎吉』+『人情紙風船』
★りんたろう監督トーク (聞き手:田中文人)
11/25㊊ 11:35 『鼠小僧次郎吉』 +『河内山宗俊』
13:50 『鼠小僧次郎吉』+『メトロポリス』
11/26㊋ 11:10 『鼠小僧次郎吉』+『人情紙風船』
13:25 『鼠小僧次郎吉』+『カムイの剣』
11/27㊌ 12:00 『鼠小僧次郎吉』+『オサムとムサシ』+『X電車で行こう』
14:00 『鼠小僧次郎吉』+『48×61』+『真・孔雀王』
11/28㊍ 12:15 『鼠小僧次郎吉』+『丹下左膳餘話 百萬両の壺』
13:35 『鼠小僧次郎吉』+『オサムとムサシ』+『X電車で行こう』
11/29㊎ 11:45 『鼠小僧次郎吉』+『劇場版x-エックスー』
14:00 『鼠小僧次郎吉』+『迷宮物語』+『火の鳥 鳳凰編』
11/30㊏ 12:10 『鼠小僧次郎吉』+『48×61』+『真・孔雀王』
★りんたろう監督トーク (聞き手:山下泰司)
12/1㊐ 12:25 『鼠小僧次郎吉』+『河内山宗俊』
★りんたろう監督と丸山正雄プロデューサーのトーク (聞き手:田中文人)
12/2㊊ 11:55 『鼠小僧次郎吉』+『カムイの剣』
12/3㊋ 12:20 『鼠小僧次郎吉』+『迷宮物語』+『火の鳥 鳳凰編』
12/4㊌ 12:20 『鼠小僧次郎吉』+『メトロポリス』
12/5㊍ 13:35 『鼠小僧次郎吉』+『劇場版x-エックスー』
12/6㊎ 12:55 『鼠小僧次郎吉』+『幻魔大戦』
11/30㊏、12/2㊊-12/6㊎ 19:00 『鼠小僧次郎吉』
海外映画祭上映
2023 日本 新潟国際アニメーション映画祭 ワールドプレミア上映
2023 フランス アヌシー国際アニメーション映画祭 インターナショナルプレミア上映
2023 フランス リュミエール映画祭 公式上映作品
2023 スペイン シッチェス映画祭 公式上映作品
2023 韓国 プチョン・アニメーション国際映画祭 公式上映作品
2023 カナダ ファンタジア国際映画祭 公式上映作品
2023 フランス ナントLes Utopiales 公式上映作品
2024 アルゼンチン ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭 公式上映作品
2024 アメリカ 日本映画祭 最優秀アニメーション賞受賞
ほか海外映画祭上映多数!
【バンド・デシネ発売情報】
著者名:りんたろう
書名:1秒24コマのぼくの人生
版元名:河出書房新社
体裁: A4変形/上製/256頁
刊行時期:2024年11月下旬
予価:予価3,520円(本体3,200円)
内容:大ヒット作『銀河鉄道999』、角川アニメ第1弾『幻魔大戦』、驚異の映像美『メトロポリス』……戦後日本の黎明期から活躍しつづけるアニメーション監督がフランスで描き下ろし出版した話題の自伝的マンガの日本語版、ついに刊行。序文:大友克洋。
【スタッフ】
脚本:山中貞雄
脚色/監督:りんたろう(『銀河鉄道999』『幻魔大戦』『メトロポリス』)
キャラクターデザイン:大友克洋(代表作『童夢』『AKIRA』『スチームボーイ』)
作画監督・キャラクターデザイン:兼森義則(代表作『YAWARA! 』『PLUTO』)
音楽:本多俊之(代表作「ニュースステーション』『マルサの女』『メトロポリス』)
プロデューサー:丸山正雄/真木太郎/Emmanuel-Alain RAYNAL /Pierre BAUSSARON
【キャスト】
小山茉美: 『Dr.スランプ アラレちゃん』『幻魔大戦』『AKIRA』
【作品概要】
日本・フランス合作/2023年/23分/制作会社スタジオM2・ジェンコ・Miyu Productions
公式サイト:https://nezumikozo-jirokichi.com/
©️2023 M2/GENCO/MIYU