昨年10月に放送されたTVアニメ『やがて君になる』のオープニング主題歌「君にふれて」でメジャーデビューを果たし、少女たちの揺れ動く想いを繊細に歌い上げた安月名莉子(あづなりこ)。
OVA『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』の挿入歌に抜擢された「Memories」では、卓越したギター演奏と寄り添う声を披露。
そして2019年2月27日(水)に発売されるTVアニメ『ブギーポップは笑わない』エンディング主題歌で2枚目のシングルとなる「Whiteout」では、洋楽要素を取り入れたキャッチーなフローが特徴的なダンサブルなサウンドで、思春期の不安定さやブギーポップの不可思議さ、人間の二面性を表現で『ブギーポップ』の世界観を見事に表現し、MVでは安月名自身がコンテンポラリーダンスで表現してみせている。
世に出した楽曲それぞれで違う一面を見せている安月名莉子に、デビューまでの歩み、新曲「Whiteout」に込めた想い、そして今後の目標など、安月名莉子の現在地についてお話を伺った。
―― まずは歌手を目指された“きっかけ”についてお聞かせいただけますか?
安月名 大学1年生の頃まではミュージカルや舞台をしていて、それまではミュージカル女優さんになるのが夢でした。
元々エンターテインメントそのものに興味があったのですが、『ダンス』と『歌』と『演技』を実際にやったなかで、一番歌が好きでした。
ミュージカルも好きなのですが、台本の言葉では無く、自分の気持ちを歌にしてみたらどうなるのかと興味が出てきて、自分で曲を書いて歌いたいという気持ちが生まれました。
―― 大学生の頃がいかがでしたか?
安月名 大学一年生の頃に初めて曲を書きました。大学とは別に音楽学校にも通っていたので大変でしたが当時は楽しさとワクワク感しかありませんでした。軽音サークルに入って、コピーバンドをしたりもしました。それまではアコースティックギターだけでしたが、サークルではじめてエレキギターにも触れました。
元々音楽のことしか考えていませんでいたが、お母さんから「大学は行きなさい」と言われまして(笑)。青春を過ごせました。
一番影響を受けたのはKTタンストールさんというスコットランド出身の弾き語りのアーティストです。ループペダルを使い、ギターと歌以外にもコーラスやパーカッションまで全て一人で演奏されるんです!
来日されたときにライブを観に行ったのですが、これまでに見たことのない世界で、すごく衝撃を受けました。ひとりでこれだけのことができてしまうのは、アーティストというより、エンターテイナーだなと惹き込まれたのを覚えています。
ベースの音を重視した弾き語りのスタイルもすごく衝撃的で、ギターの弾き方にもすごく影響を受けています。
※KTタンストール
スコットランド出身のシンガーソングライター。『Eye to the Telescope』で2004年にデビュー。代表作である「Suddenly I See」は映画『プラダを着た悪魔』やドラマ『アグリー・ベティ』の主題歌になっている。ライブパフォーマンスでは、リアルタイムで奏でた音を録音、ループさせることで音を重ねて演奏する独特のスタイルが特徴。
―― 『ブギーポップは笑わない』や前作の『やがて君になる』も主人公は高校生です。安月名さん自身高校生の頃はどんな学生でしたか?
安月名 すごくうるさかったと思います(笑)。人を笑わせるのが好きで、変なことばっかりしていたような・・・。小さい頃から変な動きをして人を笑わせたり、歌を歌ったりしていたみたいで、それがきっかけで(ダンスなどの)習い事をさせてもらいました。
―― 『アニバース』はアニメの情報を扱うWebサイトですが、子どもの頃どんなアニメを観ていましたか?
安月名 「おジャ魔女どれみ」のような魔法を使う系のアニメはよく観ていましたね。あとは「ハム太郎」も好きでした。夕方、学校から帰った時間帯にやっているアニメはたくさん見ていました。
―― 憧れのアニソンアーティストさんはいらっしゃいますか?
安月名 鈴木このみさんはデビュー前から応援していました。すっきりしていて突き抜ける感じの歌声がすごく好きです。
それから、かっこいいなと憧れているのは、レーベルの先輩のオーイシマサヨシさんです。
ライブを観に行かせていただいた時にご挨拶させてもらったのですが、ギター一本であれだけファンを魅了する姿はかっこいいなって。周りをすごく見ている方で観客を盛り上げるトークがすごかったです!初めてライブを観た時は圧巻でした。
―― 鈴木このみさんにお会いできればいいですね
安月名 鈴木このみさんさんはデビューの時から応援していたので、私の中では勝手に”このみちゃん“って呼び続けているのですが、お会いできれば嬉しいです!
―― 昨年10月の「秋の電撃祭」の「やがて君になる」ステージで歌っている姿を拝見したのですが、ライブ活動の方はいかがですか?
安月名 これまでも都内のライブハウスや路上ライブなどでの経験はありましたが、アニメのイベントはお客さんの層も変わってすごく新鮮でした。
あの時は「君にふれて」(TVアニメ「やがて君になる」OPテーマ)の初お披露目だったので、ステージ裏で緊張して震えていました(笑)。でも歌っている時は幸せでした。
―― ライブハウスや路上ライブでの経験は今の自分に影響していますか?
安月名 その頃は、“夢を叶えたい”とか“あきらめたくないんだ”という自分の想いを歌にしてきました。デビュー後は、自分自身だけではなく「作品」に寄り添った楽曲を歌う楽しさを全身で感じています。
アニメのオープニング曲って、イントロが来ただけで「来たっ!」ってなりませんか?『やがて君になる』でオープニングが流れた時に、小さい頃に自分が受けた感動を、ちゃんと与えられているのだと感動しました。
作品が伝えたいメッセージを音楽で表現する・伝えるということは、これまでやってきた“演じること”にも通じるものがあるのかなって思います。視野がすごく広くなった気がして、音楽の幅が拡がりました。
《その2 2ndシングル「Whiteout」について に続く》